家族葬とは、一般的には家族や親族、故人と親しかった友人・知人などで執り行う小規模な葬儀として知られています。
しかし、家族葬に決まった定義はありません。どの範囲の方まで参列可とするかは、故人の遺志やご遺族の判断に委ねられます。
とはいえ、「家族の葬儀を家族葬で行うことにしたのは良いものの、どの範囲の方まで参列してもらうか、他の人はどう考えているのだろう」と疑問に思われることもあるでしょう。
また、「会社の従業員が家族葬を行う場合、会社としてどのような対応をするべきか」とお悩みになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、40代以上の男女195名の方々に、家族葬について伺ったアンケート結果をご紹介します。
家族葬に参列したことがある人は43.1%
最初に伺ったのは、家族葬に参列したことがあるかどうかです。
家族葬に参列したことが「ある」と答えた方が43.1%、「ない」と答えた方が56.4%と、家族葬に参列したことのない方のほうが多い結果となりました。
「家族葬」についてのイメージ
次に家族葬についてどのようなイメージをお持ちか、自由にお答えいただきました。
・家族だけで、気を使うこと無くシンプルにできるお葬式。(福岡県/50代/男性)
・家族や本当に近しい人のみで行う宗教にこだわらない形。(神奈川県/40代/女性)
・身内だけで簡単に、かつ、低予算で行う。(大阪府/40代/男性)
・少人数のこぢんまりとした葬式。(新潟県/60代/男性)
・温かいお葬式。(神奈川県/50代/男性)
・遺族に負担にならないお葬式。(茨城県/40代/女性)
「こぢんまりとしたお葬式」や「シンプルなお葬式」といったイメージをお持ちの方が多く見られました。
家族葬は少人数で執り行われるため、「あたたかみがある」「予算を抑えられる」といった見方をしている方も多いようです。
家族葬に「故人と親しかった人も参加したほうが良い」と答えたのは22.6%
家族葬を執り行うにあたり、悩みのひとつに挙げられるのが「誰に参列してもらうか」ということです。他の方は、どのように考えていらっしゃるのでしょうか?
そこで、「家族葬に参列したほうが良い、と思う人をすべて選んでください」という質問をしてみました。
結果は、故人の一親等と二親等が多く、三親等からは50%以下となり、故人と親しかったという回答は、そこからさらに半減していました。
家族葬では「故人の家族や近い親族、親しかった方をお呼びください」と言われることもありますが、家族葬で「(家族・親族以外の)親しかった人も参列したほうが良い」と考えている方はそう多くはないようです。
家族葬における会社の対応について
続いての質問は、『社員や社員の家族の家族葬に対して、会社としてはどのように対応するのが良いと思いますか?』というものです。
社員やその家族が亡くなった際に「家族葬」を執り行うと分かった場合、どのような対応をするのが望ましいと考えられているのでしょうか。
もっとも得票率が高かったのは、「会社名義で香典を送る」で、50%の方が選択していらっしゃいました。
また、「会社名義で弔電を送る」「会社名義で供花を送る」など、参列・弔問をせずに弔意を示す対応に票が集まる結果となっています。
ご遺族に、弔問等による対応の負担を掛けさせないように、しかし弔意は示せるようにという配慮が伺えます。
家族葬に関するエピソード
アンケートの最後に『体験したことでも、聞いた話でも構いませんので「家族葬」に関するエピソードがあれば教えてください。』と伺いました。
いただいたコメントの一部を、「家族葬をして良かったエピソード」と「家族葬がうまくいかなかったエピソード」「家族葬についてのその他のエピソード」に分けてご紹介します。
【家族葬をして良かったと思ったエピソード】
・父が亡くなり、家族葬をした。こぢんまりとしていたが、内輪だけだったので変に気を遣わず、故人をゆったりとした気持ちで送ることができた。(埼玉県/40代/女性)
・父が他界した時に家族葬で執り行いました。香典返しなどあまり考えずに済みました。(神奈川県/40代/男性)
・親族だけの顔合わせで、久しぶりに会ういとこなど、故人にちなんだ昔話で懐かしさを感じた。(奈良県/70代/男性)
・少人数での葬儀であったが、それなりの見送りができ、よかった。喪主の負担が少なかった。(熊本県/60代/女性)
・義父が亡くなったとき、本人の希望もあってわたしたち夫婦だけで葬儀をした。旧知の葬祭場で静かにゆっくりと義父の思い出話をしたり昔を懐かしんだり…誰にも邪魔されずに過ごした3日間は、義父を身近に感じられた貴重な時間だったと思う。(宮城県/60代/女性)
・家族、親戚の事前に了解した上で、執り行う内容を最低限にした。しかしながら、僧侶と一緒に、心からの供養が出来て満足であった。また、故人の希望もあって、その遺志に則った内容でもあった。(東京都/60代/男性)
限られた参列者のみで慎ましやかに行う家族葬では、「落ち着いて故人とのお別れの時間を取ることができた」といった内容のエピソードが多く寄せられました。
家族葬は、葬儀の準備や弔問客対応の負担が一般葬に比べると少ないといわれています。
その分、家族や親族と共に故人の思い出話をすることもできますし、ゆっくり故人のそばにいてあげることも可能です。
そのような点を「家族葬をして良かった」と感じるのかもしれませんね。
【家族葬がうまくいかなかったエピソード】
・地味にしようと思ったが、親戚が口を出して大げさになった。(和歌山県/60代/女性)
・家族葬にしたために、後日親族の一部から苦言をいただいた。(愛知県/60代/男性)
・身内だけのはずが、町内会長が参列してしまった。(新潟県/50代/男性)
・家族葬として準備はしていたが、どこからの情報なのかわからないが近隣だけでなく、遠路からも参列されていた。結果として一般的な葬儀になった。(神奈川県/60代/男性)
・身内だけの家族葬を行いました。寂しいものでした!お金がなかったから仕方なかったです。(岡山県/60代/男性)
・密葬されたとうわさが立った。(宮崎県/50代/男性)
・お金をもっとかけるべきだと親類が言っていた。(大阪府/40代/女性)
「家族葬だったのに、近親者ではない人が参列してしまった」というエピソードが目立ちました。
家族葬の行い方や参列する方の範囲には明確な決まりがないため、「家族葬とはいえ、やはり行かなければ失礼ではないか」「呼ばれてはいないものの、お別れの挨拶をしたい」と感じて参列する方がいらっしゃるのかもしれません。
また、「親戚に苦言を呈された」という内容のエピソードも見られました。
家族葬は、近親者にとっては故人とゆっくりお別れができるというメリットがありますが、参列できない方にとっては、故人とのお別れの時間を取ることができないというデメリットがあります。
苦言を呈するのは、「参列できなかった方がかわいそうだ」「たくさんの人に見送ってもらえない故人がかわいそうだ」と感じてのことかもしれません。
おわりに
今回は、家族葬についてのアンケート結果をご紹介しました。
今回のアンケートでは、家族葬に参列したほうが良いと考えられているのが故人の「一親等までの親族」または「二親等までの親族」であるという結果となりました。
また、家族葬に対する会社の対応としては、特に辞退の申し出がなければ香典や弔電、供花を送るという対応が支持されるようです。
家族葬に限らず、葬儀は故人の生前の希望や、ご遺族がどのように故人を弔いたいかがとても大切です。
他の方の意見も参考にしながら、納得のいく家族葬のかたちを検討してみてはいかがでしょうか。
調査概要
調査区域:47都道府県
調査方法:インターネットリサーチ
実施期間:2018年10月11日~10月17日
有効サンプル数:195(40代以上の男女)