ペットを「大切な家族の一員」と考える方が増え、ペットのための葬儀を行うケースや、ペット霊園でペットを供養するケースが多く見られるようになるなど、ペットの弔い方は広がりを見せています。
今回は、そんなペットの弔い方の中でも、「ペット(犬・猫)と人間が同じお墓に入ること」について、40代以上の男女194名の方々にご意見を伺いました。そのアンケート結果をご紹介します。
「ペットとお墓に入りたい」と思う方は21%
最初の質問では、アンケートに答えていただいた194名のうち、犬または猫を飼ったことがある138名の方々に『自分のペット(犬または猫)と、同じお墓に入りたいと思いますか?』と伺いました。
ペットと同じお墓に入りたいと「とても思う」と答えた方はわずか5.8%で、「少し思う」と答えた方は15.2%となり、ペットと同じお墓に入りたいと思う方は合わせて21%となりました。
回答した方の数がもっとも多かったのは「全く思わない」で、全体の約3分の1を占める結果となっています。
では、ペットを現在飼っている方や飼ったことがある方たちは、どのような理由で上記のように思ったのでしょうか。
ペットと同じお墓に入りたい方の意見
・ペットとは言うが、家族の一員である。(千葉県/50代/男性)
・家族として愛情を注いだため。(北海道/50代/女性)
・子供みたいなものだったので。(大阪府/50代/男性)
・自分が亡き後もずっと一緒に居たいから。(栃木県/40代/女性)
・とてもかわいがっていて、とにかく愛情を注いでいたからできればはなれたくはないから。(群馬県/40代/女性)
・生前にとても可愛がっていたペットと同じお墓に入れるならばうれしいから。昔はそのような埋葬が認められなかったようだが、最近のお墓の事情はかなり変わってきているので、同じお墓に入るというのもあながち不可能ではないと思えるようになってきた。(宮城県/50代/男性)
・その気持ちは強いが世間の目が気になる。(東京都/50代/男性)
もっとも多かったのは「家族だから」という意見でした。ペットはただの「犬や猫」ではなく「家族」であり、「大切な存在だから、お墓に入った後もずっと一緒にいたい」と考える方が多数いらっしゃいました。
ペットと同じお墓に入りたいと思わない方の意見
・どんなに可愛くてもペットはペット。人間ではありません。同じお墓に入るのはさすがに抵抗があります。(千葉県/50代/男性)
・墓に入るのは自分だけじゃないから。(埼玉県/50代/男性)
・先祖代々の墓なので血のつながったものと、その配偶者だけが入るべきと考えている。(埼玉県/60代/男性)
・ペット用の墓(今までのペットを埋葬しているところ)があるので。(岡山県/70代/女性)
・考えたこともなかった。(東京都/60代/男性)
・自分自身が散骨希望。(北海道/70代/男性)
「ペットは大切な存在だけれども、人間とは区別したほうが良い」、「お墓は先祖代々のもので、自分だけのものではないから」といった意見が見られました。
ペット葬儀や、ペットのお墓を作ること自体が、近年見られるようになった比較的新しい弔い方です。そのため、「ペットの葬儀を行い、お墓を作ることが一般的な弔い方」とは言い切れない部分もあるでしょう。だからこそ、ペットと人間が同じお墓に入ることについては、まだ抵抗感がある方も多いのかもしれません。
ペットを飼ったことがない人の意見
アンケートに答えてくださった194名のうち、犬または猫を飼ったことがない56名の方々にも、『ペット(犬または猫)と飼い主が同じお墓に入ることを「良いことだ」と思いますか?』と質問しました。結果は以下の通りです。
「とても思う」と答えた方は全体の8.9%、「少し思う」と答えた方は16.1%となり、ペットと飼い主が同じお墓に入ることについて肯定的に思う方は、合わせて25%という結果になりました。
また、ペットを飼ったことがある方は「どちらともいえない」という回答が13%でしたが、ペットを飼ったことがない方の回答では39.3%と、約3倍となっています。
それでは、ペットと同じお墓に入ることについて、具体的な意見を見てみましょう。
ペットと同じお墓に入ることに肯定的な意見
・ペットも家族だから。(茨城県/40代/女性)
・ペットを家族としてみなしていたのであれば、ご本人の意志に従って一緒に埋葬されるのはよいことだとおもいます。(神奈川県/40代/女性)
・飼っている人からみたら、家族同然だと思うので。(神奈川県/40代/女性)
・ペットがかわいくて一緒に入りたいと思う人もいると思うから。(東京都/40代/女性)
・何で別にしないといけないのか分からない。(青森県/40代/女性)
・可愛がっていたペットなら家族同様だから。ただ、実際に納骨しようとすると、制約があるかもしれないとは思います。(愛知県/50代/女性)
肯定的な意見では、「ペットも家族だと思うから」といった、ペットを大切にしている人の気持ちを尊重する意見が目立ちました。
中には、「実際に納骨しようとすると、制約があるかもしれないとは思います」という現実的な面を指摘する方もいらっしゃいました。
ペットと同じお墓に入ることに否定的な意見
・人間と動物は別ものだと思うから。(兵庫県/60代/女性)
・人と動物が同じお墓に入ることなど、考えられない。(神奈川県/60代/女性)
・いくら家族同然でも別の方が良いと思う。(埼玉県/70代/女性)
・墓は人間が人間のためにつくった設備だから。(東京都/60代/女性)
・なんか変。(徳島県/50代/女性)
・ややこしくなるから。(新潟県/60代/女性)
・自分ひとりの墓ではないだろうから。(北海道/40代/男性)
・墓に入った後に、ご先祖様から何を言われるやら。あの世でいじめに遇いたくない。また、お寺が許すとは思えない。ペットとの付き合いは現世で充分じゃないか。(千葉県/70代/男性)
否定的な意見では、「ペットと人間は区別したほうが良い」という意見が多く集まりました。
区別したほうが良い理由については、「人間と動物は別だから」という意見や、「(人間の)お墓は人間の設備だから」、「(人間と動物が同じお墓だと)ややこしいから」という意見が寄せられています。
また、「(ペットと人間が同じお墓に入るのは)なんか変」という違和感を理由に挙げている方もいらっしゃれば、「ご先祖様から何を言われるか分からないから」という、自らの死生観から否定的な立場を取る方もいらっしゃいました。
「どちらともいえない」と答えた方の意見
・その人の勝手だから、周りがとやかく言うことではない。(神奈川県/40代/男性)
・人それぞれなので入りたければそれで良いと思います。(埼玉県/60代/女性)
・自分自身がペットを飼っていないためなんとも言えないです。(東京都/40代/女性)
・ペットを飼ったことがないので考えたこともないのですが、ペット専用のお墓もあり、そういう所に入るものだとなんとなく思っていました。でも、ペットを飼っている人にとっては家族同然で同じお墓に入りたい、と思う人がいるのも理解できるので「どちらともいえない」を選びました。(北海道/50代/女性)
・本人達の自由ではないでしょうか?入りたければ一緒に入れば良いし、「何々家」というようなお墓が日本のしきたりのようなものだから、他の家族が嫌がるなら自分だけのお墓を建てて一緒に葬ってもらえば良いのでは?他人がとやかく口出すことでは無い。(東京都/70代/女性)
最も得票率の高かった「どちらともいえない」という回答の理由で多かったのは、「人それぞれだから、他人が口を出すことではない」という意見です。
また、ペットを飼った経験がないことから、「飼い主の気持ちがあまり想像できない」、「なんとも言えない」といった回答をする方もいらっしゃいました。
おわりに
ペット(犬・猫)と人間が同じお墓に入ることについて、40代以上の男女194名の方々に伺ったアンケート結果をご紹介しました。
ペットの弔い方の幅は徐々に広がってきていますが、「人間とペットが同じお墓に入る」ということについてはまだまだ抵抗感を持つ方が多い、という結果となりました。
ペットを飼った経験のない方のほうが、同じお墓に入ることについて「良いことだ」と思うと答えた方の数が多かったことから、飼った経験のある方のほうがペットと同じお墓に入ることについてより現実的に考えていることが伺えます。
昨今ではペットの弔い方と同様に、人間の弔い方も多様な広がりを見せています。
ペットと人間が一緒にお墓に入ることについても、選択肢のひとつとして理解を得られるようになっていく可能性もあるでしょう。
調査概要
調査区域:47都道府県
調査方法:インターネットリサーチ
実施期間:2018年10月10日~10月17日
有効サンプル数:194(40代以上の男女)