仏式のお葬式が多い日本では、「参列者は香典を持参する」という考え方が広く浸透しています。
しかし、地域や宗教、宗派によっては香典が不要だったり、香典の名称が異なっていたりする場合もあります。
そこで今回は、葬儀で香典を出したことがある183名の方を対象に、香典で困ったことに関するアンケートを実施しました。
回答者のエピソードが、今後香典で困らないための対策に役立つかもしれません。

香典のマナーの違いで困った経験はありますか?

最初の質問は、地域や宗教、宗派などによる香典のマナーの違いについてです。
このようなマナーの違いで困った経験のある方は、どれほどいらっしゃるのでしょうか。

画像: 香典のマナーの違いで困った経験はありますか?

香典のマナーの違いについて困った経験が「ある」と回答した方は47%という結果になりました。実に半数近くの方が、香典のマナーの違いについて困ったり悩んだりしたご経験があるようです。

困った方が多かったのは「香典袋の表書き」について

続いて、香典のマナーの違いで困った経験がある方に対して、具体的にどのようなことで困ったのかをお聞きしました。

香典袋の表書き

・香典袋に何と書けばよいかわからなかった。(奈良県/20代/男性)
・御霊前など、どの名称を用いてよいか、また、行く前に宗派がわからなかった。(東京都/60代/男性)
・直前にどの宗教か分かったので書き直す必要があり、香典袋を何枚も使った。(奈良県/40代/女性)
・仏教が多いので御霊前しか使う機会がなかったが、親戚が亡くなり親に確認しても宗教がわからず御霊前で包んだ。ところが葬儀に参列して別の宗教だということがわかり、相応しくない表書きになって後悔した。(北海道/30代/女性)

香典袋の表書きに悩んだことがあるという意見が多く見られました。
表書きは宗教や宗派、また香典を出す時期によっても異なります。
故人の宗教や宗派について知らないことも多く、何と書けば良いのか分からず困った経験をお持ちの方が多いようです。

香典袋の種類・色

・香典袋の種類が分からず困った。(東京都/30代/女性)
・お香典の袋ののしの色が黄色い物を、こちら(岡山県)に越してきて初めて見た。黄色いものを使わなければならなかったのに知らなかったので、その場にいた人全員に嫌な顔をされた。(岡山県/50代/女性)
・大阪では香典袋が違った。確か黄色の帯?の封筒だった。(神奈川県/50代/女性)

香典の出し方

・受付にて、出した本人の前で確認の為、封を開けて確認するのにビックリしました。友達と統一した金額だったので良かったけれども、ビックリしました。(東京都/60代/女性)
・ネットで調べて香典袋を持って行ったがそこは袋がいらないところで、中身を取って確認したら袋は返された。他の人はそのまま現金で出していた。(神奈川県/60代/女性)
・法事に参列したとき、香典受けが無かったため何処に出してよいか戸惑ってしまった。(群馬県/60代/男性)

香典の金額

・金額がわからない。(東京都/50代/女性)
・地方により香典の相場が違うので適当な金額がわからない。(北海道/60代/男性)
・金額の相場が地域によって異なる。(奈良県/50代/男性)

香典袋の種類については、宗教によって異なるほか、地域による差もあります。
関西地方では黄白の水引が多く使われていることから、関西で行われるお葬式に初めて参列した際に驚いたという方もいらっしゃいました。

香典返しをもらった際のマナーで困った経験はありますか?

続いては、香典返しについての質問を投げ掛けました。香典返しをもらった際のマナーについて困った経験のある方はどれほどいらっしゃるのでしょうか。

画像: 香典返しをもらった際のマナーで困った経験はありますか?

香典返しをもらった際のマナーについて困った経験が「ある」と答えた方は24%でした。およそ4人に1人の方が、困った経験をお持ちのようです。
「ない」と答えた方は59%と半数以上、「覚えていない」と答えた方は17%という結果になりました。

困った方が多かったのは「香典返しのお礼」について

上記の質問で困った経験があると答えた方に対して、どのようなことで困ったのかを詳しくお聞きしました。ここでは、そのコメントの一部をご紹介します。

香典返しへのお礼

・届いた連絡をすべきかどうかなやんだ。(大阪府/60代/女性)
・ありがとうとは言えないので困った。(大阪府/50代/男性)
・最近は、その場で出されることが多いので悩むことは少ないが、送ってもらったときに「お礼状」を出すべきか否かで今も迷っている。(埼玉県/60代/男性)
・香典返しにお礼をすべきかどうかわからず困ってしまった。(大阪府/60代/男性)
・葬儀に参列せず香典を送りました。香典返しをいただきましたが、お礼の連絡をしてはいけないといわれていて、何も返答しないのが心苦しかった。中にはお礼をいうのが当然ということもあるようで、どちらが正しいのか、正しくても、「ついたとかつかないとか言ってもこない」と言われたり、「お礼の電話をしてくるなんて」といぶかしがられても困る。(神奈川県/50代/女性)

香典返しの品の金額

・相手の香典返しの品の方が高そうで悩んだ(東京都/20代/女性)
・自分が出した香典よりも明らかに高価なものだったので、もらっていいのかどうかで困った(熊本県/50代/男性)
・香典よりも高いもので本当にもらっていいのか困った(北海道/40代/女性)

その他

・香典返しが、色々な種類の入浴剤で、とても使う気持ちになれませんでした。(東京都/60代/女性)
・ただの贈り物なのか香典返しなのか区別がつかないことがあった。(福岡県/40代/女性)
・香典返しを断ってもいいものか悩んだ。(東京都/40代/女性)

最も多かったのは、「香典返しのお礼の連絡」についてのコメントでした。香典返しの品物が無事到着したことや、送ってもらったことに対する感謝を伝えたい気持ちがあっても、お礼の連絡をして良いものかどうか悩んでしまうことが多いようです。

また、香典返しで包んだ金額よりも高そうな品物をいただいてしまったり、いただいた品物が香典返しなのかどうかが分からず困ってしまったりといった意見が見られました。

おわりに

今回は、香典を渡す際や香典返しを受け取った際のマナーについて、困ったことを尋ねたアンケートの結果をご紹介しました。
宗教や地域による香典袋の表書きや水引の違いや、香典返しへのお礼の連絡をして良いのかどうかなどは、判断がつかず困った経験をお持ちの方も多いようです。
そのような状況になった場合には共に参列する方に相談したり、葬儀場へ問い合わせたりするなどして情報を集めることをおすすめします。

調査概要

調査区域:47都道府県
調査方法:インターネットリサーチ
実施期間:2018年11月07日~11月14日
有効サンプル数:183(葬儀で香典を出した経験がある20代以上の男女)

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