子供の代わりに
結婚して10年が過ぎた頃のことでした。
なかなか子供が授からず、諦めようかと夫婦で話していたとき、突然夫から「子供を諦める代わりに、ペットでも飼ってみないか?」と提案があったのです。
不思議な瞳の白猫
譲渡会当日の賑わう会場の中、誰も人がいないケージが1つ。覗いてみると、真っ白な猫が、まるで人間に背を向けるように横になっていました。
そして、呼びかけもしないのに振り向いて、私たちをじっと見つめたのです。
この子と暮らしたい!
結局、その日は決断できずに帰宅しました。でも、どうしても気になり、2週間後にもう一度譲渡会に行くことに。
まだ引き取り手が決まらずにいた白猫のケージに「こんにちは」と声をかけると、「ニャー」と小さな声で応えてくれました。
今日からは「チビ太」
それから3人での暮らしが始まりました。白猫の新しい名前は「チビ太」。
帰宅途中の車の中で粗相をしてしまったことから、夫が「チビッたな。今日からお前の名前はチビ太だ」と冗談で言ったことが本当になったのです。
わが家へようこそ!チビ太
当時5歳だったチビ太が楽しく、快適に過ごせる環境を整えようと、猫タワーを買いに行ったり、おもちゃを揃えたり。
本当に子供ができたかのように物がどんどん増え、家の雰囲気も一変しました。
猫はかすがい?!
チビ太が来たことで夫婦の会話も増えました。私たちが笑っているとチビ太が寄って来て、自分も交ぜろと言わんばかりに「ニャー、ニャー」。
もともと特に動物好きではなかった私も、完全にノックアウトされました。
広がる、猫トモの輪!
チビ太を通じて知り合った猫好き仲間とは、写真を持ち寄ってえんえんと猫自慢談義。
誰もが「自分の猫が一番可愛い!」と譲りません(笑)。
チビ太が残してくれたもの
チビ太は猫と暮らす楽しさを私たちに教えてくれました。チビ太が天国へと旅立った1年後、私たちはまた猫を引き取りました。
チビ太によく似た、真っ白な子です。
この子との出会いも、きっとチビ太が導いてくれたのでしょう。
イラスト ⁄ ちーぱか
ライティング/八尋みくり
編集/都恋堂
平成にゃんこ物語 YouTube
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