作り手インタビュー(後編)

前編(FROM NOWHERE - 光学ガラスがつくり出す神秘的な祈りの道具)では、FROM NOWHEREのブランドコンセプトや各製品のデザインについて伺いました。

後編では、光学ガラスの特性と、カドミ光学工業の“職人”さんたちの精緻な加工によって祈りの道具がつくりだされる過程を見せていただきます。

光学ガラスの不思議な世界

柴崎「一般的に光学部品と呼ばれるものは、カメラのレンズですとかミラーなどを思い浮かべる方が多いと思うんですが、実は私どもが主に作っているのは、検査装置や測定装置に使われるものが多いんです。尿検査や血液検査に使用する容器などです」

例えば、わたしたちがよく知っている試験管。

円筒形で底が丸い形状は、レーザーで測定するときに光を反射してしまい、どこを測定すればよいかわからなくなって正確な検査結果が得られないのだそう。

そこで、下の写真にあるような「光学セル」と呼ばれる四角い検査容器が使われています。

画像: 左側が窓ガラスに使用されるガラス。 右側の角柱状のものが、光学ガラスでつくられた検査容器

左側が窓ガラスに使用されるガラス。
右側の角柱状のものが、光学ガラスでつくられた検査容器

分析装置の部品として活躍する光学ガラスには、さまざまな特性があります。

高い透明度

柴崎「たとえばこれ(上の写真、左側のガラス片)は一見、透明に見えると思うんですが、横から見ると少し緑がかっているんです。普通の窓ガラスにも使われているガラスです」

窓ガラスに使用されるガラスは、製造工程で不純物が混じってしまうために薄く色がつき、数センチの厚さでも向こう側がよく見えなくなってしまいます。一方、石英ガラスでつくられた光学ガラスは、とても透明度が高いのだそうです。

柴崎「石英ガラスは光ファイバーにも使われている素材なんですね、光通信などに使われていて数キロ先まで透けて見えます

全反射

光学ガラスのもうひとつの特性として「全反射」というものがあります。柴崎さんが、普通のガラスと光学ガラスを比べて実際に見せてくれました。

柴崎「窓ガラスに使われるガラスの場合は、光を当てても拡散してしまいますが、光学ガラスの場合は、入り口から入った光が管の中で反射しながら伝わっていって、ほぼ外に漏れずに出口に抜けるという感じなんですね。周りはあまり光ってないですよね。これは透明度と屈折率の兼ね合いですね」

分光

分光とは、三角プリズムで直射日光を当てると、七色に光が分けられるという現象のこと。
こちらも実際に、窓辺に置いた水平鈴から虹をつくって見せてくださいました。柴崎さん曰く、「思いがけない時に、室内で虹色が見られるといいかな、と」。なんとも素敵な発想ですね。

これらの光学ガラスの特性をいかして、FROM NOWHEREの商品が生まれました。

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