作り手インタビュー(前編)

光学ガラスのもつ素材の力と加工技術を活かした製品を通して、精神的な暮らしを提案するブランド、FROM NOWHERE。光学ガラスに魅せられたデザイナーと、日本有数のガラス加工技術をもつカドミ光学工業が出会って誕生した祈りの道具について、お話を伺いました。

画像: 左:カドミ光学工業 柴崎さん 右:クラウドデザイン 三浦さん

左:カドミ光学工業 柴崎さん
右:クラウドデザイン 三浦さん

━━三浦さんはもともと光学ガラスを集めてらっしゃったとか?

三浦「光学系のレンズやプリズムが好きで集めていました。とくに光学ガラスって透明度がすごく高くて、加工の精度が上がるほど不思議な存在感になるっていうのはもともと感じていて。

カドミ光学工業さんとコラボすることになり、非常に平滑な、しっかりした精度のものを見せていただいたとき、僕にはそれが合理的な機能というよりはもっと神秘的なものに見えて、これは絶対商品にできると思いました」

━━商品化は、どういう形で進められたんですか。

三浦「東京都主催のメーカーとデザイナーをマッチングさせる、東京ビジネスデザインアワードに僕が応募したら選定されまして、コラボレーションがスタートしました。

そこで提案したのが、光学ガラスを使った祈りの道具。光学ガラスの持っている神秘性を形にしたいなと。光学ガラスで作るところが最大のポイントなので、単に美しいだけでなく、全反射とか分光とか、光学系の現象を生かすのがブランドコンセプトですね」

柴崎「最初に商品化したのが〈祈具セット〉です。そのあと、もう少し手頃な価格帯を目指して作ったのが〈映箱〉というミニ骨壷。そして、このサイズに合わせて〈水平鈴〉や〈射映枠〉がデザインされています」

三浦「それぞれ単体でも成り立つんですけど、コンセプトが共通していて素材感も合わせていますので、自由に組み合わせて魅力が出せるような方法を考えました」

光学ガラスの持つ神秘性をかたちにする。

三浦「デザインは形とか寸法より、光学ガラスの特性をどう効果的に表現するかに大半の時間を割いていますね。一番大変だったのは水平鈴で、光学的な効果だけでなく、叩いた時にいい音がする音響的な部分も大切。光と音の両方を扱うので、いろんな試行錯誤をしました」

〈水平鈴〉

――たとえば乾杯でグラスを打ち合わせるときも、チンときれいな音がするから、光学ガラスだからといって、そんなに音が変わるものかなと思ったんですが、実際の音を聞いてみると全然違うんですね。

柴崎「なるべくお求めやすい商品にしたくて、安い素材を使って試してみたんですけど、ダメでしたね(笑)」

三浦「密度、硬さ、振動の伝わり方とか、カットの仕方やサイズによっても音が違います。実際に置く場所を考えると、小さいものがいいだろうと進めたんですけど、どうしても残響が短くなってしまう。カーンと鳴らした音がすぐに消えてしまうんですね。いろいろ試して、最終的に今のサイズに落ち着きました」

柴崎「細長い形は、お墓参りに持っていきたいという方にも好評です。普通の丸いおりんですと転がってしまうけれど、これなら持っていけると。

ただ、お別れ会とかそういったところで使う場合には音が小さいのではないかという声もあって、今、もう少し大きい音が出せる商品も開発中です」

〈射映枠〉

柴崎「〈射映枠〉は全反射という、光が外に出ずに反射する仕組みを利用しています。成形したガラスの裏面に、お選びいただいた写真を印刷するんです。角度によって見え隠れするので、一番いい角度で見えて、いい角度で消えていくという」

三浦「単に遺影がドンとあるのと、電子的なものを使わず視点の変化で像が現れ、消えていくのでは、物への対し方が変わるんじゃないかなと思ったんです。そこをどうデザインするか、というのがテーマでした」

〈映箱〉

柴崎「〈映箱〉は片面に鏡面コートを施したガラス同士を貼り合わせて、間に色の着いた層が挟み込まれたように見えます。特徴としては5%くらいの透過率を残しているので、強い光を当てて上から見ると、透過して奥行きを感じるんです。

その奥に、ガラスの下にある真鍮の容器が多重に見えるという形。容器には、ご遺灰や形見を納めていただきますが、上蓋があるので中は見えません。

〈形見箱〉を作ったときに、“落としたらどうするの?湿気は大丈夫なの?”っていう声があって、ガラスの下に密封容器を貼るデザインを考えてもらいました」

━━購入される方は、お仏壇の代わりを求めてらっしゃる方が多いんでしょうか?

三浦「〈水平鈴〉の場合は、本当にお鈴としてスリムで置き場所に困らないということで購入されている方もいらっしゃいますね。いわゆる仏式の仏壇の手前に置くというような。〈形見箱〉や〈映箱〉は仏壇に見えないように供養したいっていう方が多いと思いますね。

自分だけのものとして、周りにはそのことを伝えていないという人もいるようですよ。
もしお客さんが家に来て、これらを見たとしても、何だかわからないくらいのもの。買ってくださった方のご家族もわからないみたいな(笑)」

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