遺骨が入っているお墓を、さまざまな理由で撤去する「墓じまい」。お墓から勝手に遺骨を取り出して別の場所へ移したり、お墓をそのままにしたりすることはできません。
墓石のある寺院と相談をし、きちんと行政上の手続きを経てから、墓石撤去を石材店に依頼するという流れになります。
そこで起こりうるのが、さまざまなトラブル。
墓じまいを行う際にどのようなトラブルが起こるのか、またその対策方法についても見てみましょう。
墓じまいにおけるトラブルとは?種類と事例を紹介
墓じまいは、先祖代々の遺骨をおさめているお墓を閉じることなので、親族との話し合いが欠かせません。
また、現在のお墓を管理している寺院や墓苑、そしてお墓の撤去時に依頼を行う石材店など、墓じまいを行うそれぞれの工程で多くの人とかかわりがあります。
そのため、さまざまなトラブルが起こる可能性があると言えます。
(1)親族間のトラブル
墓じまいを行う理由はさまざまですが、親族によっては墓じまいに反対する声もあがるでしょう。
たとえば、頻繁ではなくてもお墓参りを行うことが大切だと考えている人、先祖代々のお墓をなくすことは心苦しいと思う人など、さまざまです。そのため、墓じまいについて反対されることが少なくありません。
また、墓じまいを行う際にかかる費用を、親族の中で誰がどのように負担するかというトラブルも起こることがあります。
(2)寺院とのトラブル
墓じまいを行うということは、お墓を管理している寺院の檀家をやめることでもあります。
檀家(檀家制度)とは、お布施を行ってお寺を支援する代わりに、供養や法要などをお寺に任せる仕組みのこと。檀家をやめるということはお寺にとって経済的支援がなくなることに等しいため、墓じまいをスムーズに行えない場合もあります。
また、墓じまいを行うにあたり「離檀料」を請求されるケースもあり、高額なお布施を求められるトラブルの発生も少なくありません。
(3)石材店とのトラブル
墓石の撤去は自分でできるものではありません。そのため、石材店など専門業者に依頼し、遺骨を取り出した後に重機を使って撤去を依頼します。
この時、お寺によってはあらかじめ業者が決まっていることが多く、他の業者に比べて撤去費用が高い場合はトラブルになる可能性も考えられます。
墓じまいのトラブルを回避するために
墓じまいではさまざまなトラブルが起こりうることがわかりました。
では、どのような対策をとれば、墓じまいのトラブルを回避できるのでしょうか。
それぞれの事例別に対策を見てみましょう。
(1)親族間のトラブル対策
まず、親族間のトラブル対策としては「話し合いをする」ことです。
たとえ自分が最もお墓の管理をしている場合でも、親族がいるならば必ず連絡をし、墓じまいについての意見をもらいましょう。
勝手に墓じまいを進めてしまうと、費用はもちろん遺骨の行方についても大きなトラブルになってしまうため、親族みんなが納得してから墓じまいを行うようにしましょう。
(2)寺院とのトラブル対策
檀家をやめる場合、寺院にとってマイナスになると言えるでしょう。
しかし、それだけでなくこれまで代々続いてきた寺院と家族のつながりが途切れてしまうため、心情の面でも大きな溝が生まれてしまう可能性があります。
なぜ墓じまいを行うのか、遠くに引っ越してしまう、今後墓を管理する跡取りがいないなど、きちんと理由を伝えて納得してもらいましょう。
(3)石材店とのトラブル対策
墓石の撤去にあたって、寺院によっては指定の石材店があるため、その場合は気持ちよく墓じまいを進めるためにもその業者を利用しましょう。
この場合、寺院との契約時にその旨が告げられている・書面に残されているかを確認することが大切です。
また、その指定石材店があまりにも高い費用を請求してきた場合や、業務を含めた対応について気になる点があれば、寺院に相談すると良いでしょう。
指定業者ではない場合、高額な費用を請求されないためにも複数の業者に見積もりを取ることが重要なポイントです。
まとめ
核家族化、転勤や跡継ぎとなる子どもがいないことなどで、墓じまいは珍しいことではなくなっています。
だからこそ、墓じまいを行う際にはトラブルが起こらないようしっかりと準備を進めるように心がけましょう。