故人の供養の方法やマナーは、信仰する宗教や地域などによってさまざまです。
しかし、昨今ではルールやしきたりにとらわれない自由な弔い方が見られるようになってきました。手元供養もそのひとつです。
今回は、手元供養がどのような供養方法なのか、また、手元供養について20歳以上の方に聞いたアンケート結果をご紹介します。
手元供養とは、どのような供養方法?
従来、人が亡くなると火葬をしてお骨をお墓に入れる(納骨する)ことが一般的でした。
しかし近年の墓地事情の変化や、宗教観・ライフスタイルの変遷にともなって、さまざまな供養のスタイルが提案・実践されるようになっています。
ここでは、それらの新たな供養方法のひとつである「手元供養」についてご紹介します。
故人のお骨を手元に残しておくのが「手元供養」
手元供養は自宅供養とも呼ばれます。
従来は、遺骨や遺灰はお寺や墓地に管理をまかせることが一般的でしたが、手元供養ではそれらを自宅に置き、ご遺族が手元で管理・供養します。
小さな骨壺を用意して分骨し、お寺やお墓とご自身の両方で保管する方法や、美しい置物にお骨を納め、ご自宅に置けるオブジェとして残す方法などが知られています。
また、指輪やネックレスなどのアクセサリーにお骨や遺灰の一部を納め、身につけるといった方法もあります。
手元供養の内容について知っている方は37.1%
近年広まりつつある手元供養ですが、具体的な内容をご存知の方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。
手元供養について「知っている」と回答した方は37.1%と、全体の3分の1程度に留まっています。
手元供養を選択する方が増えている一方で、ご存知ない方もまだまだ多いことがわかりました。
16.7%の方が「身近な人が亡くなった場合に手元供養をしたい」と回答
では、実際に手元供養をしたいと考えている人は何割程度いらっしゃるのでしょうか。
身近な人が亡くなった場合の手元供養について、なんと最も多かったのは「わからない」という回答でした。
手元供養をしたい理由・したくない理由とは
上記の質問とともに『選択した回答について、なぜそう思ったのか教えてください。』という質問を設け、コメントを寄せていただきました。いくつかご紹介したいと思います。
「思う」と回答した方のコメント
・いつも身近に感じていたいから。(茨城県/50代/女性)
・自分はひとりっ子だし、お墓も守っていく人がいなくてどうしようかと思っているところだから。遺骨をダイヤモンドに変える等、形にして身近に置いておくのも良いかもなと思っています。(長野県/30代/女性)
「思わない」と回答した方のコメント
・自宅近くに墓があるので必要ない。(秋田県/50代/女性)
・きちんとしたところで供養したいので。(大阪府/20代/女性)
・大切に扱わないといけないので、気を使ってしまう。(神奈川県/40代/女性)
「わからない」と回答した方のコメント
・その時にならないとどういう感情が生まれるか予測できない。その立場になってみて初めて検討することかなと思います。(山梨県/60代/女性)
・人によるし、その時にならないとわからないから。(熊本県/30代/女性)
・手元供養がどのような事か知らない(埼玉県/60代/男性)
最多回答だった「わからない」を選んだ方のコメントとしては「その時にならないとわからない」というものが多く挙げられました。
希望する手元供養の方法は、「骨壺や小瓶」が最多
冒頭でもご紹介した通り、手元供養にはさまざまな方法があります。
どのような方法で、お骨や遺灰、遺髪などを手元に置いておきたいと考えているのでしょうか。
先ほどの質問に対して手元供養をしたいと「思う」「わからない」と答えた方に、『身近な人の「手元供養」をするとしたらどのような形で手元に置きたいですか?』と質問してみました。
最も多かった回答は40.5%の方が選んだ「骨壺や小瓶」で、「ネックレス」が22.1%と次ぐ結果となりました。
手元供養の方法を希望する理由は?
手元供養の各方法を選んだ理由についてもそれぞれ聞いてみました。
「骨壺や小瓶」と回答した方のコメント
・今のところ家にいる時間が一番長いので、家や仏壇に置いておく形でいいかなと思う。(山梨県/60代/女性)
・仏壇に置いておけるから。(神奈川県/40代/女性)
「ネックレス」「指輪」と回答した方のコメント
・日常的に身につけて、持ち歩くことが出来るから。(神奈川県/40代/男性)
・いつでも身近に感じていたい。(茨城県/50代/男性)
「置物(オブジェ)」と回答した方のコメント
・コンパクトだからです。(千葉県/30代/男性)
・指輪やネックレスは無くしてしまう可能性があるから。(熊本県/20代/女性)
それぞれ、ご自身の生活スタイルに合わせた手元供養の方法を希望されていることがわかりますね。
おわりに
今回は、「手元供養」という供養方法について、186人の方へアンケートを実施した結果をご紹介しました。
「墓地やお寺で供養するもの」という認識がまだまだ一般的ですが、毎日の生活で故人を身近に感じたいという気持ちや、心の支えとして何かを手元に残したいという想いを持っている方が増えていることも確かなようですね。
どのような供養の方法を選択するにしても、今はさまざまなスタイルがあり、選択肢が広がっていることを心に留めておくと良いかもしれません。
調査概要
調査区域:47都道府県
調査方法:インターネットリサーチ
実施期間:2018年11月07日~11月14日
有効サンプル数:186(20代以上の男女)