「八巻畳工業の“畳作りの道具”」次のあるじ 第二話
先に旅立った人が、この世界に遺した品たち
故人が遺した物品を「遺品」や「形見」と呼んでしまうと、なんだか触れてはいけない厳かなもののような気がして、そのままタンスの奥に仕舞っておきたくなる人も多いでしょう。
しかし、その品を誰かが引き継いで愛用することで、それは永遠に道具としてあり続けるのではないでしょうか。道具に込めた故人の想いは、ともに生き続けるかもしれません。
次の世代に引き継がれた品たちを探訪する「次のあるじ」。第二回目は東京の北区で4代続く畳店「八巻畳工業」が舞台です。
会えずして先立った祖父の存在。イグサの匂いで思い出す幼い頃の記憶
「祖父は毎日店先に縁台を出して、仕事の合間...